――― 「DisGOONie」の第4弾公演!
まず始めに今のお気持ちを率直にお聞かせ願えますか?
佃井 実は、以前から決まっていた今夏の公演が中止という形になってしまい、稽古で予定していたこの期間が、急遽、空いてしまうことになってしまったんです。 それで、「どうしよう?」と思っていた所に、西田さんが連絡くださったんですよ。勿論、事情も分かってた上ででしょうけど、そうしたことには何も触れずに、ただ「力を貸して欲しい」って。それを聞いた瞬間に、即答で「やります!」って。(笑)
こういう状況っていうのは、人生の中、あまりあることじゃないと思うんです。でも、そういう中で「手を差し伸べてくださった」って私は思ったんですね。そのことがすごく嬉しくて・・、どんな作品なのかとか聞く前に、まず「西田さんについていきたいな」って気持ちが一番だったので・・本当に、即答でした(笑)。
なので今、「この恩はどうやって返したらいいんだろう?」って思っています。
――― 一つの「巡り合わせ」だったんですね。
佃井 はい。実は、その「どうしよう?」と思っていた期間に、「海外に行こう!」とも考えたんですよ。
――― 海外ですか?それは留学とか・・?それともご旅行で?
佃井 旅行もかねて。(笑)以前から「留学したい」という思いがあったんですけど、まずは、その「下見」に行こう、って。この歳になって、・・私は海外経験が少ないので・・「いろんな世界を見てみたいな」って思ってたんです。
これは本当に運がいいとしか言えないんですけど・・ここ数年、自分の心の中で「やりたい」と思っていたことが叶えられていて・・。例えば、『仮面ライダー』※1に出れたこともそうです。私、男性へのコンプレックスがすごくあったんですよね。でも、男性にしか出来ないと諦めていたことが、女性でも出来たということが。
他にも、アクションの無いお芝居でもちゃんと、「女優として結果を残したいな」って思っていたこと。「歌のお仕事」や、「ミュージカル」、「男役」も。(笑)・・後、ずっと好きだった小説の実写化で、「やるなら、自分が絶対やりたい」と思っていた役のオファーをいただいたりとか・・・。本当に全部、「巡り合わせに恵まれて」という感じなんですけど。
で、勿論まだまだ先にあるんですけど、もっと高い目標を持てば「そこに行けるんじゃないか」って思ったんです。今までは一つずつ目標を設定して、地道にやってきたんですけど、今度は「何年先でもいいからもっと大きな目標を持ってみよう」って。これまでは「巡り合わせ」や「運」に恵まれて進んでこれたことが多かった中、「無謀な挑戦」をしたことがなかったんですけど、「一度きりの人生だから、大失敗もしてみたい」と思って・・それで「海外に行こう!」です(笑)。何でもいいから自分の中にはないものを取り入れて、「自分の知らない自分」に出会ってみたいな、っていうのがあったったんですよ。
・・英語も全然喋れないですし(笑)、「大きな目標」というのも・・具体的な言葉にはまだ出来ないんですけど(笑)。
――― ここ数年、本当に様々な現場でご活躍されている佃井さんですが、お仕事の際、一番大切にされていることは何でしょうか?
佃井 今言った 「人生は本当に一度きりだから」という思いは、自分の中にすごくあるんです。これは、本当にここ最近の心境の変化なんですけど・・。
で、そう思ったら「怖いものがなくなった」というか。「今、自分が誰かに何かを残せるものって何なんだろうな?」とか、そういう気持ちが強くなっていきました。
今までは逆に、色んなことを気にしてて・・「真面目に生きなきゃ」とか・・自分自身に制限をいっぱいかけて感情を押し殺す、みたいな経験がすごくあって。だから楽しいと思うことがあまりなかった気もするんです。でも、「人生は一度きり」と思ったら、「何やってもいいんじゃないか」って。それでいっぱい失敗して、ダメだったら止めればいいし。でも「やらないで後悔したくない」と思ってやってみたら、やってみて後悔することってほとんどなかったんです!
だから、ネガティブな感情に引っ張られずに、「今の自分が出来ることを、やれるだけやろう!」っていう風に考えています。
――― 「人生は一度きり」と思うようになったのは、「最近の心境の変化」ということですが、何かきっかけがあったんでしょうか?
佃井 特別に「コレ」というきっかけは自分でも分からないんでんですけど・「色んな人との出会い」とか、「色んな人からもらった言葉」の積み重ねで、そう思えるようになった気がします。あ!これはエピソードの一つなんですけど・・、私がすごく悩んだ時に、ある友達に「すごいツラいと思った時にどうしてる?」って聞いたんですね。そうしたら、その子、「私はどうやって死ぬかしか考えていない」って言ったんですよ!!私、それ聞いて、「えっ!?」って、本当にびっくりして。「もう、ツラいことは当たり前だし、ずっと常に底辺にいるから、楽しいってわかんないです」みたいな感じで言っていて。でも、その子全然ネガティブに見えないんですよ。すごい楽しそうで。その発言も全くネガティブな感じじゃなくて。それを聞いて、「私、死ぬって考えたことなかったなぁ」って・・、それも一つあるのかなぁ・・。
――― 本当に素敵な「出会い」、素敵な「巡り合わせ」を積み重ねて、「今の佃井さん」がいらっしゃるんですね。
佃井 そうですね(笑)。今回もそんな巡り合わせの一つなのかも知れませんが、西田さんが「今の私」に声をかけてくれたことも「運命」だなって思っています。
今の私に声をかけてくださった「意味」っていうのは絶対あるんだろうなって。・・「それは何なのか?」これも、まだ自分では分からないことなんですけど・・。
だから例えば、今回いただいた「茶々」という役も、きっと「今の私だから出会えた役」なんだと思います。
西田さんの作品に出させていただく時に毎回思うんですけど、今の等身大の自分が「抱えているもの」とか、「悩み」とか、「苦しみ」とかが、いただいた「役と本当にリンク」するんですよ!西田さんは「占い師」なのか!?と、思うくらい!(笑)
それって、他の作品では絶対なくて!だからこそ、・・「占い」じゃないんですけど(笑)・・今の自分が何を考えていて、どういう言葉に影響を受けて、傷ついたり、笑ったりするのかな、っていうことを、西田さんからいただいた「役を通して」気付かされたりするんですね。
だから今回も「今の私はどういうことを思っているのかな?」っていうことが、「茶々」という役を通して、たくさん気づけるんじゃないかなって。それを探したりするのが楽しみです!
――― 「茶々」のお名前が出ました所で、ここからは、今公演についてのお話もお聞かせせいただけますか?
佃井 はい。今回私は『枯れるやまぁ のたりのたりとまほろばよ あぁ悲しかろ あぁ咲かしたろ』に出演させていただき、「茶々」という役を演じます。
正直、歴史にすごく疎いもので・・「茶々」という名前は聞いたことあるんですけど、「どんな人だろう?」と思って、取り急ぎ『真田丸』※2と、『GOEMON』※3という映画を見ました。(笑)
でも、その2作品だけでも「茶々」という役の描かれ方が全く違ってたんですよね。自分で色々と調べてみても、「悲劇的に描かれている作品」もあるし、「男を手玉にとって、策略の上、殺させる」みたいなのもあったりして。色んな描かれ方があるので、西田さんが描かれる「茶々」も含めて、「色んな可能性のある役」なんだなと思っています。
――― 共演される方々についてはいかがでしょうか?
佃井 (谷口)賢志さんとは、絡むシーンが多いと聞いてますので、それも本当に楽しみです。賢志さんは本当に「私の憧れの人」なんです!以前、『ペルソナ4』※4でご一緒させてもらって、次に『RE-INCARNATION』※5でも共演して。これは私のイメージなんですけど、「本とか映画とか全て読み尽くしているような人」です。本を読み解く力がすごいし、実力もあった上で・・簡単な言い方だと媚びない方だなと・・媚びないっていうのも違うのかな・・?でも、ああいう風に生きるのってリスクがたくさんあると思うですけど、それでも自分を貫ける強さがある。「あの出で立ち」からもそうですけど(笑)、私と「正反対な方」だなって。私はどちらかと言うと、「人にどう思われているかな?」とか、「嫌われていないかな?」とか、そういうことばっかり気にして生きてきちゃったから、賢志さんの存在っていうのは自分の中ですごく刺激的で、自分と真逆だからこそ、「私もホントはそう生きたい!」って思うんです。
――― それでは最後の質問になるんですが・・。今回の企画のインタビューで他の皆さんにもお伺いした質問です。
もし、この「DisGOONie」の「船」を任されたとしたら。「DisGOONieの船長」になった時に、佃井さんだったら何をしますか?または何をしたいですか?
佃井 うーん・・え?どうしよう?・・え?どうしよう?・・え?どうしよう?・・うーん・・。まず・・え?西田さんいなくなちゃったら?・・うーーーーーーーん・・え?どうしよう???
――― 随分と長考されてますね(笑)!申し訳ございませんが皆さんにご回答いただいておりますので、何卒宜しくお願い致します(笑)。「船長という立場になる」ようなことは、これまでにご想像されたことはございませんか?
佃井 全くないですね(笑)!え、ホントにどうしよう?・・とりあえず、西田さんを探しますけど・・。探して・・本当にいなかったら・・。でもやっぱり・・普段、西田さんの周りにいらっしゃる方たちがいるじゃないですか?その方たちを頼りまくります!その方々はきっと、前にしか進まないと思うので。私は多分、自分では何も出来なくて・・・。だから・・・人任せですね(笑)。でも、私にはそうするしか出来ないです!(笑)
© 2017 DisGOONie inc. All Rights Reserved