――― 「DisGOONie」の第4弾公演!いよいよ詳細が公開となりました。
まず始めに今のお気持ちを率直にお聞かせ願えますか?
田中 「DisGOONie」第1弾の『From Chester Copperpot』※1に呼んでもらった時より、何故かちょっと嬉しかったんです。
去年の末の劇団の公演※2が終わって一段落したっていうこともあって、この先「当たり前にここにいられるわけじゃないんだ」、「当たり前に西田くんとお芝居やれるわけじゃないんだ」ってことをちょっと考える部分もあったので、単純にお声を掛けてもらえたことが、とっても嬉しいです!
――― 西田さんの作品には欠かせない存在の女優さんという印象のある良子さんでも、そのように考えるんですね。
田中 そんな風には、私自身は全く思ってなくて・・。西田くんは「新しいモノ」が好きなので、いつ「お前、もう飽きた」って言われるのかな(笑)、って正直10年前くらいからずっと思ってるんです。なので「当たり前」だと思ったことは1回もないんです。
――― 良子さんと西田さんとは大学時代の同級生なんですよね。出会ってから20年以上のつき合いになるわけですが、その中で関係性であるとか、向き合い方に何か変化した部分はありますか?
田中 本質的には変わってないとは思うんですけど、・・変な話、つき合い長くなって「大人になってから」の方が、お互いに気遣い合ってるような気がします(笑)
お互いにムチャクチャ言い合ってたんですよ、昔は。(笑)お互いがどう思ってるか、どんな気持ちでいるかとかを、お互いの立場とか関係なく昔は言い合ってました(笑)
そういう風に「人間同士」として、当たり前に「ふざけんじゃねえよ!」って言い合ってたんですが・・、今は、その「ふざけんじゃねえよ!」を言うために3つくらい段階を踏むというか・・、なんか「ちょっと大人ぶろう」とするお互いがいるような感じです。(笑)
それでも結局伝わらないから、やっぱり「ふざけんじゃねえよ!」の言い合いになるんですけど。(笑)
――― 「くされ縁」の関係性を感じますね(笑)
田中 勿論、大学の同級生だし、ずーっと「仲間」って思っていたいんですけど、「「仲間」って言っちゃっていいのかな?」っていう、自分の中の怯えみたいのはずっとあるんです。言ってもらえるのは死ぬほど嬉しいけど。(笑)
なので自分からはどちらかと言えば、やっぱり「一つ高い所にいる人」っていうイメージでちゃんと捉えてます。(笑)
――― では、「仲間」としてではなく、「演出家」、「作家」、「俳優」としての西田さんの魅力を、良子さんの言葉でお聞かせいただけますか?
田中 うーん、改めて言葉にするとなると難しいなぁ・・(笑)。でも本当に思うのは、「最高のおもてなし上手」だなぁ、って。
俳優さんのことも、スタッフさんのことも、お客様のことも、・・あのー、変な言い方になりますけど、自分自身のことすらも。(笑)
その人たちを「最高に楽しませるために」、いつも色んなことを最大限に考えてる人なんだなぁ、って感じがしてます。
そういう意味で言うと彼は「演出家」なんだと思います。彼自身が俳優としている時も、普段の時も、もう「演出家として」全て考えてる気がします。そんな人ってあまりあったことがないから、一緒にいるとホントに退屈しないです(笑)
たまに「ホントにこの人バカだなぁ」って思う時もあるんですけど(笑)。「こんなくだらないことに、こんなに労力使う?」っていう・・、「ホント、バカだなぁ」って思うこともあるんですけど・・、そういう所が「魅力」なのかなぁ、とは思いますかね。(笑)
――― それでは、ここからは今回の公演に関してお伺いしていきたいのですが・・、
西田さんは、先日のインタビューで「今年1年、オリジナルの新作は書かないと決めた」と仰っていました。そんな西田さんが、どういう思いで、今回の3作品を選んだと思いますか?
田中 今回の3作品は、それぞれ種類が違う気がしていまして・・、
――― それぞれの作品ついて、良子さんの印象などお聞かせいただけますか?
田中 『GOOD-BYE JOURNEY』は、所謂「西田くんの王道」だと思うんですよ。
西田くんが「ワークショップ」の第1期※3、最初の生徒を持った時に、一番最初に書いてあげた、・・「彼女、彼らが、ただ輝くために」書いた・・、「愛」しかない作品だと思います。
シンプルに、人間が想い合って、踏ん張って、頑張って、生きるお話。
色んな作品を書いている西田くんの、根っこの根っこにある作品なのかなあ、っと。
――― 『SECOND CHILDREN』は、いかがでしょう?
田中 『SECOND CHILDREN』は、ある意味ではこれも「西田くんの王道」な気がします。
西田くんの書く作品って、「「変わらないモノ」と「変わっていくモノ」の戦い」で描かれていくことが多いような気がするんです。
この作品でも、「季節」が描かれるんですけど、この「季節」というのも「絶対変わっていってしまうけど、必ずまた巡ってくる」っていうもので・・、そういう「変わること」「変わらないこと」の2つが「ずっと一緒に走ってる」ような気がして・・、正にそれが詰まった作品だと思っていて。
そういう意味で「真骨頂」であり、「西田くんの王道」な気がします。
――― なるほど。では、『枯れるやまぁ のたりのたりとまほろばよ あぁ悲しかろ あぁ咲かしたろ』についてもお聞かせください。
田中 『枯れるやまぁ~』は、西田くん自身が、所謂その「王道」を変えたいと思った時に書いた作品なんだと思います。※5
私たち自身も当時、色々わからなくて・・、稽古場が一番混沌としたイメージがあります。(笑)
何をしていいか、どう表現すればいいのか、皆悩んで創った作品。なので、今の西田くんの形を作った、その「変革期の1作目」なイメージがあります。
2作品「王道」があって、後1作品に「これを持ってくるんだ!?」っとすら。(笑)
だから今回の3作品は、「今の西田大輔」、「40歳の西田大輔」を創りあげてる3本軸なのかなって思います。
しかも、これらを「直感的に」選んだんじゃないかな、と思いますね。(笑)
「色んな面を観せる」とかを「考えて、考えて」ではなくて、「今やってみたい、演出してみたい」、「今の仲間とやってみたい」っていうモノを「直感で」選んで、この3作品になった気がします。
――― 良子さんはその3作品全てにご出演されるわけですが、それぞれの「役」に関しては、どう思われていますか?今回「こういう思いを持って臨みたい」といった意気込みなどあればお聞かせください。
田中 『SECOND CHILDREN』は、出演したことがなかった作品なんですね。※4
当時、ホント客席で、もう「指千切れんじゃんないか」ってくらいにギリギリと手を握って観てたくらい、とっても好きなお話だったので、単純に出られるっていうだけで、死ぬほど嬉しいです。(笑)
逆に、今の年齢でこの作品に携われるってことが、良かったなぁって。
「失うこと」も、「変わること」も「変わらないこと」も、たくさん感じてきた「今の私だからこそ表現出来ることがありそう」だな、っていう意気込みはあります。
――― 今回のキャストと共に創られる「新しい作品」に期待しています!それでは、その今回共演される俳優さん、女優さんについてもお聞かせいただけますか?
田中 信用しかありません!(笑)
ではあるんですけど・・、ちょっと怖いな、と思う部分もあって・・。
――― 怖い、と言うのは・・?
田中 私、他の演出家さんとお芝居する時は、「自分の見せられるモノを最大限に見せよう」みたいな気持ちがあるんですけど、西田くんの現場でいつものメンバーでやる時に、毎回、「あれ?私、どうやって第一声目、お芝居やってたっけな?」って、わからなくなっちゃうんです。
なんかね、役作りとか、もう全部知られちゃってるし。(笑)「私の声」も、「私のいいと思ってること」も、「嫌いなこと」も、全部バレちゃってるから。そんなことを考えると、台本さあ覚えようって時にも、いきなり覚えられなくなったりするんです。・・なんか、それくらい、ちょっと苦手。(笑)見透かされてるから・・。
信用しすぎてて、なんかもう嫌だって(笑)。
だって何やっても、もう、「はいはい」って思われるんだろうっていうような怖さがあって。西田くんに対しても・・、「まあ、良子はね、」みたいにいわれるんじゃないかって・・。
皆、死ぬまで一緒にやりたい俳優さんたちなんだけど、本当苦手(笑)
――― そうなんですね。(笑)初参加の方々に対してはいかかでしょうか?
田中 今回初めてご一緒させていただく俳優の皆様には、「何を共有出来るのかな」って、とても楽しみに思っています。
今公演での稽古初日まで、一度も交わらなかった人生が一緒になって、・・喜びなのか、悲しみなのか、痛みなのか・・「何かを一緒に感じて作品を創る」、こんな「怖くて素敵なことはないな」って思ってます。
――― それでは最後の質問になるんですが・・。萩野さん、賢志さんにもお伺いした質問です。
もし、この「DisGOONie」の「船」を任されたとしたら。「DisGOONieの船長」になった時に、良子さんだったら何をしますか?または何をしたいですか?
田中 盛大にひっくり返して、「ざまあみろ!」って笑います、私は。
もうね、船長を誰かに任せるってことがダメだから。あっさり沈没させて、「ざまあみろ!」って。(笑)
「お前がいないからだぞ」、「さあ、1人でもう1回旗立ててやり直せ」って言ってやります。で、私は「また乗る」(笑)
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