Interview vol2 谷口賢志×DisGOONie ロングインタビュー

「反抗」

――― 「DisGOONie」の第4弾公演!いよいよ詳細が公開となりました。
谷口賢志さんは、「DisGOONie」には、これまでの全ての公演にご出演されています。すっかりお馴染みの俳優さんですが、まずは賢志さんご自身についてお伺いしていきたいのですが、「俳優・谷口賢志」として一番大切にされていることは何でしょうか?ポリシーのようものがありましたら、是非お聞かせください。

谷口  俳優としてのポリシーは、めっちゃ単純で、「言われたことを瞬間的に出来る」ってことしか考えてないんです。これは、どの現場でも。「言われたことを100パーセント、瞬時に出す」、・・プラス「絶対にコテンパンにしてやる」って。(笑)

――― 「コテンパン」ですか?(笑)

谷口  周りは全て敵です。(笑)何故なら、僕の「表現の根本」にあるものが「反抗」だから。(笑)「反抗」だし、「不満」だし、ある意味「絶望」でもあるのかも知れないけど・・・。
まあ、だから俳優やってる、みたいな所もあるんですけど。全部それなんですよ。
だから、尊敬したことないんですよ、人を。憧れとかも持ったことないし。・・まあ、よく皆の前でも公の場でも言ってますけど、「西田大輔、殺す」(笑)って言うのは・・、

――― (笑)確かに言ってらっしゃいますね。

谷口  僕がそう思えたことが、今でもこういう風に俳優やれてる理由の一つであるし、・・というか全部です。だけど、その言葉を言うためには、「瞬時に出す」ていうことが出来ないと駄目だと思ってるんです。例えば、「台本をもらったら次の日に絶対覚えてくる」、「殺陣つけられた瞬間に覚えてる」、「段取りつけられた瞬間に覚えてる」、それが出来なきゃ、「反抗」したってカッコ悪い。
だから、瞬間的に全部出来て、後は、「そこからは俺の「反抗の表現」の時間だ」って思ってます。
まあ、好きな俳優さん、女優さんに対しては、「反抗」とかではなく・・「悔しい!コイツ、面白え!面白え芝居してきた!チクショウ!悔しいから俺も考える!」みたいなことなんですけど。で、逆に言えば、そういう人に「悔しい!」って思わせたいですし。
そういうことで言えば、例えばですけど、本屋さんに行って「西田さん、まだこの小説読んでねえだろうな」って。
憧れとかはないんですけど、好きな俳優さん、女優さんとかはいっぱいいるわけです。で、皆、本を読んだり、映画観たり、色んなモノ観たりするから、「まだこれ観てないでしょ」とか「まだこれ読んでないでしょ」とか思うやつを、あえて探すんです。だって、人が通った道を通っても、ね。

――― それは「個」の主張、のような・・?

谷口  そうだと思います。生きてて、「注目されたい」とか「必要とされたい」とか・・俳優って、そうじゃないですか。選ばれたいんだもん。「この役は、あなたしかいないよ」って言われたくて生きてる。けど、何の仕事でもそうなんですよね。例えば、コンビニのバイトしてたって、「検品は谷口賢志が最高だね」って言われたい。(笑)
「選ばれたくて」生きてて・・多分、「選ばれないで」生きてきたんだろうし、僕も。「選ばれたい」と思ってて、だけど「選ばれる」ためには人それぞれ色んな方法があるわけで。僕は、芝居がホント出来なかったし・・まあ、今でも上手いとも思ってないですけど・・本当に出来なかったので、まず、「言われたことが瞬時にちゃんと出来る」ってことが、僕にとっての方法・・だと思ってます。

――― 自分に厳しく、自分を追い込むようにしてやられてるんですね。

谷口  だけど、それをやると、ちゃんと人もついてくるんですよ。自分にも責任が出てくるし。僕はやっぱり口も悪い方だし、全部言っちゃう方だから、そういうのを言い続けていくためには、ちゃんとやることをやらないと駄目だし。偉そうなことだけ言ってる先輩とかこの世にいっぱいいるじゃないですか。僕は若い頃から、そういう人たちに「大したことねえよ!お前」って言ってきた方だから。(笑)だから、後輩にそう言わせないし、上に言い続けられる風にいたいなって思ってます。ずっと。

――― なるほど。賢志さんは「新しい台本を貰っても、稽古終わったら朝まで飲みに行って、でも翌日の稽古には、絶対台詞を入れてくる」とのお話を伺ったんですが(笑)、そういうのはいわゆる「美学」だったりするんでしょうか?

谷口  そうですね、美学です。美学と意地。後・・小心者だから(笑)
僕、台本持ちながら立ち稽古が出来ないんですよ。そういう技術がないんです(笑)
台本持って出来るほど上手くないんです。だから台本持ちながら出来る人は尊敬する(笑)
僕が出会った俳優さんで、「この人上手いなー」って人がいたんです。その人、ずっと台本持ってやってたのに、稽古最終日くらいに台本外してやった時に、最高にいい芝居するんですよ。で、その人に「賢志、ゴールは一緒なんだよ」って言われたんです。
けど僕、逆にその人に言ったんです。「あなたのゴールは一緒かも知れませんけど、あなたがそれをやったことで人のゴールは変わりますよ」って。「だって、あなたは僕を見ずに、持ってんだもん。だから、あなたのゴールは一緒かも知れないですけど、僕のゴールは変わりますよ」って。「だから俺は嫌です。だから俺は絶対覚えてきます」って言ったんです。すごい先輩だったんですけど・・やっぱり「反抗」です、僕は全部(笑)

――― そのような「ポリシー」、「美学」を持つ賢志さんが、「俳優としてやりたいこと」というのは、どのようなことになるんでしょうか?

谷口  うーん・・いや勿論、ほら、「何のために俳優やってんだろう」とか、「どうなんだろう」とか考えた時、「お客さんのために」っていうのが絶対あるじゃないですか?それは間違いなくあって。
けど僕、西田さんに初めて会った時※1、ホントに初めて言われた演出が・・この話、ホント(他で)何回もしちゃってるけど(笑)・・「「人を待ってる」っていうのを即興でやってください」って言われたんですよ。で、「谷口君、」・・あ、その頃はまだ「谷口君」と呼ばれてたんです。(笑)・・「谷口君。10人にこのお題を出したら、ほとんどの人間が「腕時計を見る」、もしくは「公園みたいな所で高い所にある時計を見る」、もしくは「タバコの吸い殻いっぱい」みたいな芝居をするのね。それが8割とするじゃん?10人中8人がやるとする。けど他の2人は違うことを考えてくるの。面白いことを。俺はね、その2人がやってることを全部紡いだ芝居を創りたいと思ってるの」って言われたんです。

――― それが、西田さんとの出会いだったんですね。

谷口  はい。もう10数年前です(笑)で、「もしかしたら、それをやると、100人お客さんがいたら98人は「わからない」って言うかも知れない。だって8割じゃないことを紡ぐから。けどね、2人のお客さんが「一生忘れない」ってい言う景色を創りたいんだよ」って言われたんです。
僕、その時は「何、言ってんだ!?」って(笑)
けど、そう言われてからは、そのことをずっと考えてて。台本読んで・・当時は「どういう風に言おう」とか「こういう言い方にしよう」みたいなことしか考えられない頃ですよ(笑)それでも「この台詞、こういう風に言ったら(10人中)8人だな。違うことにしよう!」って。
だから今でもそれは強く思ってるんです。正直、お客さんに届ける時も・・勿論全員に楽しんで欲しいのは大前提なんですけど「(10人中)2人が、一生忘れない世界を創りたいな」って。
そりゃあそれが100人だったらもっと嬉しいでしょうけど、やっぱり僕は天邪鬼だから、100人観に来て、100人が「感動した」って言ったら、「嘘だね!」って思うんですよ。「駄目なモノ創ったな」って思っちゃう。
僕の中には、お客さんに対する「反抗」っていうのもあるんです。
僕は、お客さんのことを「神様であり、悪魔である」と思ってるんですよ。だから「かかって来い、コノヤロー」って思いつつも、同時に「愛してますよ」って思いながらやりたい。(笑)

「自分のために」

――― それでは、ここからは「DisGOONie」についてお伺いしていきたいのですが、これまで全ての公演に参加されている賢志さんは、「DisGOONie」をどのように捉えてらっしゃいますか?

谷口  僕、「DisGOONie」っていうのは、「自分のために」芝居していい場所なんだ、って思ってるんですね。「「自分が楽しい」って思えることのために」。何か・・自分のことだけ考えるのって危険じゃないですか。「自分だけが楽しい」ってどうなんだろう?って。俳優は、「自分が楽しむな」とも教わるような所もあって、・・「自分が楽しんだら駄目だ」、「お客さんが楽しめるものを創らないと」、「自分が楽しんだらお客さんは楽しくないんだ、自分が泣いたらお客さん泣かないんだ」、って教わるものなんですけど・・。
本来、僕らがやりたいことっていうのは、「自分が楽しい」って思えることなわけで。「自分が楽しいと思う人たち」と「自分が楽しいって思う戯曲」と、「自分が最高楽しいぜっ!!て思えるお芝居」。
で、「そういうことをやっていいんだ!」って思えたのは、『The Tempest』※2のカーテンコールの時なんです。これはホントに。

――― 「DisGOONie」の第1弾公演の時ですね。

谷口  その第1弾公演、初日が『The Tempest』で。正直、バッタバッタな「船出」だったんですよ、舞台裏は大変で。(笑)僕らもド緊張してて、「この芝居どうなるんだろう?大丈夫なのか?」って全員が思ってて。それでも、「俺ら死ぬほど楽しんで稽古したな!」、「めっちゃ最高だな!」って(笑)、そういう思いで舞台に乗せた時のカーテンコールで、客席がうねってたんですよ、客席が。お客さんが皆すごくイイ顔してて、拍手が、・・今まで聞いたことない・・大きいとか、すごいとかじゃなくて・・何て言うんだろう、うねってる。(笑)
それで、「これが、嵐の幕開けだ!」っていうか、「出航だ!」って感じれた時に、この場では「「自分たちが楽しい」っことをやっていいんだ」、って本気で思ったんです。
しかもそれをやって、お客さんがああいう風になって、「こんな感覚になるんだ!」っていうことを経験しちゃったからこそ、もう、今後それをやらざるを得ないというか。(笑)
「DisGOONie」の「船」に乗ったからには、余計なこと考えず、ただ「自分が楽しい」ことをやって、・・もし、それで駄目だったら、僕らは「船」を降りるしかないし、沈没するしかない、・・そういう「覚悟」でやれるんですよね。

その上で、今まで「DisGOONie」の公演3回、作品で言うと5本ですけど、やってきて、毎回求められるハードルも上がるわけなので、また「同じことをやっても意味ない」ということも考えてます。歳も重ねてきた中で、次にやるんだったら「もっと自分が楽しい」ってことを出して、「もっと勝負していかないといかんな」って思うんです。
今の自分が「DisGOONie」で何を出せるのか、っていうのも自分で楽しみだし、またその場で皆に会えるのが非常に楽しみです。
今回また、新たな人が船に乗ってきますし。特に、僕の「アニキ」が来るんで、ね。「萩野のアニキ」。やっかいだなと思ってます。「倒してーなー!」って。(笑)
やっぱり根っこは「反抗」なんで。(笑)

「DisGOONie」の「船」って、イメージとしては「海賊船」じゃないですか。(笑)
だから、乗ってる皆、それぞれが胸張って、「宝がほしいんじゃ!」って言っていい場所で・・、皆が皆、誰の夢もバカにしないし、・・歳上も歳下もない。皆ホント、「自分の宝」が欲しいから乗ってて、・・けど、作品一緒に創ってる時は、皆同じ方向に向いてて。
で、結果、その宝は、・・まあすごいキザなことを言えば、お客さんがくれるんですけどね、最後に。(笑)
勿論、その宝が、箱開けてみたら駄目でしたっていう時もあるかも知れないですけど、・・
けど、海賊が、最初からね、箱の中身がわかってる宝を、探してちゃカッコ悪いじゃんないですか。徳川埋蔵金だって、実際にはないかも知れないけど、探し続けないと駄目なんです。僕にとっては、「DisGOONie」はそういう場所だと思ってます。

――― 今公演でも賢志さんの「宝探し」が楽しみです!しかも今回は3作品全てにご出演されるんですよね。

谷口  3作品出演は初挑戦ですね。きっと、そういうハードルを与えてくれてるんでしょうね、西田さんが(笑)。だから、初めて飲みに行かないかも知れない(笑)3本分台詞覚えないといけないから。もしくは初めて台本を持つ。(笑)

「同じことやります」

――― それでは最後の質問になるんですが・・。もし、この「DisGOONie」の「船」を任されたとしたら。「DisGOONieの船長」になった時に、賢志さんだったら何をしますか?または何をしたいですか?

谷口  僕は、「西田大輔を潰そう」と思ってるんですよ。けど、西田さんがいなくなったとして、その船が沈没しそうになった時、僕は絶対真っ先に「西田大輔と同じことやって先頭に立ち」ます。そう思ってます。「俺が皆を絶対、宝に連れてってやる」って。
ずっと、一緒に宝探したいと思ってたんです。けど、乗ったら乗ったで、やっぱり「かかって来いコノヤロー!俺が一番の海賊じゃ、ボケ!」ってする。だから砲撃手に文句言ったり、コックに文句言ったり、「ぶっ壊してやるこんな船!」って思いながらやるんですけど、・・・西田さんいなくなったとしたらですよ、「船」が沈没しそうになったら、僕は、西田さんと同じことやります。間違いなく。 俺が「DisGOONie」になる!(笑)

  1. Office ENDLESS produce vol.1『邯鄲の夢』。2004年2~3月上演。
  2. DisGOONie presents vol.1『From Chester Copperpot』。『The Tempest』、『Cornelia』、『New World』の3本立てで2015年11月に上演。

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